GIJNガイド:女性ジャーナリストのためのリソース

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編集:The GIJN Collection
翻訳:エァクレーレン

この記事はthe Global Investigative Journalism Network (GIJN)によって公開されました。日本語訳はGIJNのご支援のもと報道実務家フォーラムが公開したものです。貴重な情報を提供してくださり心より感謝申し上げます。

This story was originally published by the Global Investigative Journalism Network.
J-Forum publish the Japanese translation with GIJN’s support. 
We’re grateful to GIJN for offering and allowing to translate it into Japanese. 


Photo: Pexels


 女性ジャーナリストは仕事をするにあたって、男性とは違う困難に直面しがちである。世界中で活動する女性ジャーナリストが、ネット上のハラスメント、職場での差別、ジェンダーに基づく暴力といった問題への対処に向け、役に立つネットワーク、リソース及びツールなどの情報を簡単に見つけられるよう、GIJNではリソース集をまとめてみた。これらのリソースは、特に女性ジャーナリストを対象とした仕事の機会や支援を探す際にも役に立つだろう。


  1. ネットワーク
    • 国際ネットワーク
    • 地域別ネットワーク(訳注:複数地域に支部があるネットワークは複数地域それぞれの項目で重ねて紹介している場合がある)
      • ​アフリカ
      • ラテンアメリカ
      • 中東
      • 北米
      • アジア
      • ​欧州
  2. 安全に関するリソース
  3. 差別とハラスメント
  4. メンター​を探す
  5. 助成金とフェローシップ
  6. 女性を対象にした賞
  7. 女性専門家を探す
  8. 調査報道ジャーナリズムで活躍する女性たち

 何か追加すべき項目があれば、こちらまでご提案いただければ、リストを拡充していく予定である。

国際的ネットワーク

 職業的なネットワークは、ピア・サポート、メンターシップ、協働及び連絡の強力なリソースになり得る。男性中心の調査報道ジャーナリズムの世界では、他の女性に呼びかけて理解と支援を得ることが有益である。そこで、特に世界の女性ジャーナリストに向けた各地域のネットワークと国際的ネットワークのリストをまとめてみた。

 「GIJN Women」は、調査報道ジャーナリズムに携わる女性に関する問題を話し合う場としてグローバル調査報道ネットワーク(GIJN)が創設したオンライングループである。

 2017年に発足した「Coalition for Women in Journalism(女性ジャーナリスト協会)」は、「全世界の女性ジャーナリストの団結」を培うことをめざして、経験豊富な女性ジャーナリストによるリソース、イベント、啓発活動、メンタリングなどを提供している。同協会はラテンアメリカ及びアジアの諸国に窓口がある。

 ワシントンDCに本拠地を置く「International Women’s Media Foundation(国際女性メディア財団、IWMF)」は1990年に創設された。助成金の提供や研修の実施、複数の賞の主催のほか、報道が不十分なテーマに焦点をあて、世界中の女性ジャーナリストのための取材旅行などを実施している。IWMFには緊急基金も用意されており、安全研修の支援を行っている(これは、以下の「安全」の項目に分類される情報でもある)。

 「International Association of Women in Radio & Television(ラジオ・テレビで仕事をする女性のための国際協会、IAWRT)」は、放送業界や電子メディアなどで働く女性のための世界的なネットワークであり、アフガニスタン、カメルーン、イラク領クルディスタン、モルドバ、ノルウェー、南アフリカ、ウガンダ、カンボジア、インド、ケニア、ネパール、フィリピン、タンザニア、米国に支部を持つ。IAWRTは女性とメディアに焦点を当てたグローバル・プロジェクトを支援し、会議を主催し、プロフェッショナルとしてのスキルを身に着ける研修を実施している。

 「Women Photograph」は、「写真ジャーナリズムのコミュニティの構成を変え、この業界の主な発言者の構成を、彼らが代表したいと考えるコミュニティと同じような多様性を反映するようにする」という使命を掲げ、2017年に発足したNPOである。このネットワークは女性及びバイナリーの性自認を有する世界の独立ドキュメンタリー写真家1000名の名簿を管理し、編集者に対して女性が撮った写真をもっと多く刊行物に掲載するよう働きかけるキャンペーンを実施している。こちらのページから、このNPOが集めた1面署名入りの写真に関する2020年のデータを確認できる。

 「Media Moms」はアクセス制限つきのFacebookグループで、母親であるジャーナリスト、及び報道機関、ジャーナリズム教育、メディアの営業部門などで働く母親500人余りがメンバーになっている。同グループの設立理念は次のように記されている。「私たちは、締め切りと家庭での暮らしとのバランスを取るというユニークな課題に直面している。これは互いに経験を伝え合ったり、課題やソリューションを共有したり、バーチャルでハグを送り合ったりするサポートのための場である」

地域別ネットワーク

アフリカのネットワーク

 NGOのCode for Africa(コード・フォー・アフリカ)が創設した「WanaData」は、アフリカの女性のジャーナリスト、データ科学者、コンピュータ技術者が、データに基づく記事を作成するために協力しているネットワークである。ハッシュタグ#WanadataでTwitterを検索すると記事や会話を読むことができ、同じハッシュタグを使ってチームに加わったり、ここに記事を投稿したりすることもできる。このネットワークではパートナーたちと協力して、デジタル・ジャーナリズムの研修プログラムも提供している。

 2016年に発足した「African Women in Media(メディアで働くアフリカ女性、AWiM)」は毎年会合を行っているほか、Facebookのグループを運営し、業界内のアフリカ女性の専門能力の開発とメディアにおけるジェンダー反映の問題に焦点を当てた週刊ニュースレターを発行している。2020年にはフォジョ・メディア研究所(Fojo Media Institute)と協力して、サブサハラ・アフリカの女性ジャーナリストの参入障壁を明らかにした研究結果を発表した。これは17カ国の125名の女性ジャーナリストを対象に研究を行ったものである。

 1983年に設立した「Association of Media Women in Kenya(ケニア女性メディア労働者協会、AMWIK)」は、メディアを通じての業界内及び社会における女性の平等と可視性の確保に注力した会員制の非営利団体である。AMWIKは女性ジャーナリストのデジタル・セキュリティに関する調査などのリソースを公開しており、奨学金も支給している。

 「Nigeria Association of Women Journalists(ナイジェリア女性ジャーナリスト協会、NAWOJ)」は25年前に設立され、メディアにおける女性によるアクセスとリーダーシップの向上を目指している。NAWOJはナイジェリアの女性ジャーナリストを対象に啓発を行い、研修プログラムを提供している。

 「Cameroon Media Women(カメルーン・メディア・ウィメン)」は#MeToo運動の広がりを受けて、WhatsAppのグループとメンバー限定のFacebookページを2018年に立ち上げた。カメルーンの国番号を入れた#StopSexualHarassment237のハッシュタグを使い、報道機関で女性が直面する問題について女性ジャーナリストがTwitter上で議論を行い、動画などをシェアした。

 セネガルに本拠地を置く「Inter-African Network for Women, Media, Gender Equity and Development(女性、メディア、ジェンダー平等及び開発のための汎アフリカネットワーク、FAMEDEV)」は、2001年に設立された女性のためのメディア及び通信に関する組織で、アフリカ西部及び中部の22カ国で活動を行っている。FAMEDEVはアフリカにおけるメディア、ジェンダー平等、育成に注力した組織であり、女性ジャーナリストに対する研修プログラムの提供、啓発、情報提供及び研修のためのリソースキットの作成、社会起業活動の促進などを実施している。

ラテンアメリカのネットワーク

 2013年に発足した「Chicas Poderosas」は、ラテンアメリカ及びスペインの13カ国に支部がある。調査報道ジャーナリズムのワークショップやハッカソンを主催し、リーダーシップ、デジタル、新メディアのスキルなどに関して女性を対象に研修を行い、メンタリングやフェローシップを支援している。

 2017年に発足した「Coalition for Women in Journalism(女性ジャーナリスト協会)」は、「全世界の女性ジャーナリストの連帯」を培うことを目的として、リソース、イベント、啓発活動、経験豊富な女性ジャーナリストによるメンタリングなどを提供している。同協会はメキシコに支部がある。

中東のネットワーク

 1999年に設立された「Arab Women Media Center(アラブ女性メディアセンター、AWMC)」は、女性と若者のための職業訓練、スキル開発、メディア・リテラシーを重視するアンマンに本拠地を置くNGOである。AWMCは女性とメディアのテーマを中心にしたドキュメンタリー映画やリソースを制作しており、地域内の女性ジャーナリストを結びつけるオンラインネットワークを提供している。

 オランダに本拠を置く「Syrian Female Journalists Network(シリア女性ジャーナリストネットワーク、SFJN)」は、シリアにおける女性ジャーナリストの声を広め、リーダーシップを発揮するポジションを得られるよう支援するという使命を掲げて2012年に設立された。SFJNには男性と女性と両方の会員がおり、シリア国内及びトルコ、レバノン、ヨルダンで女性ジャーナリスト向けにジェンダーとフェミニズムに関する研修を実施している。同ネットワークはリソースと機会に関する情報をメンバーと共有している。

 「Marie Colvin Journalists’ Network(マリー・コルヴィン・ジャーナリスト・ネットワーク)」は、女性ジャーナリストのオンラインコミュニティであり、会員は実践的なサポートやメンタリングを受け、互いにアドバイスを交換することができる。利用は無料で、アラブ世界で活動するアラビア語話者の女性ジャーナリストなら誰でも参加できる。

北米のネットワーク

 1985年に始まった「Journalism & Women Symposium(ジャーナリズムと女性のシンポジウム、JAWS)」は、米国の女性ジャーナリスト向けのコミュニティ提供を目的としている。全国規模の活発な自動メーリングリスト・サービスを提供し、各地に支部を有し、研修イベントを開催するなどしている。JAWSはメディアで「女性に影響に及ぼす問題に関するリソース、サポート、研修及び情報」の提供に注力しており、年次総会を主催するほか、継続的なメンタリングも提供している。

 ワシントンDCに本拠を置く「International Women’s Media Foundation(国際女性メディア財団、IWMF)」は1990年に創設され、充分に報道されていないテーマに焦点を絞り、世界中の女性ジャーナリストに向けて、助成金や研修、複数の賞、取材ツアーを提供している。IWMFには緊急基金も用意されており、安全研修を支援している(これは、以下の「安全」の項目に分類される情報でもある)。

 1909年に発足した、米国を中心とする「Association for Women in Communications(通信分野における女性の会)」は、学習機会の提供、求人情報の提供、女性リーダーのネットワークを通じた連携などを通じて、コミュニケーション産業における女性の地位向上に向けた活動をしている。

アジアのネットワーク

 「Network of Women in Media, India(インドメディア産業女性ネットワーク、NWMI)」は、啓発及びネットワーク構築のための組織であり、インドの女性ジャーナリストのために、業界内及び社会において「情報やリソースを共有し、アイデアを出し合い、メディアの意識と倫理を高め、ジェンダー平等と正義のために活動する」場を提供している。NWMIは全国に16の支部がある。

 ネパールの「Working Women Journalists(働く女性ジャーナリスト)」は、メディアにおける女性のアクセス向上と機会平等を実現するためにロビー活動を行う啓発組織であり、研修、セミナー、ワークショップを主催している。

 「NüVoices」は、ジャーナリストを含め、(広義の)中国に関するテーマに取り組む女性を支援するネットワークである。「NüVoices」はメンバー限定のFacebookページを開設しており、中華圏、米国、ヨーロッパに支部を有し、女性専門家の名簿などを管理している。 ..

 2017年に発足した「Coalition for Women in Journalism(女性ジャーナリスト連盟)」は、「全世界の女性ジャーナリストの団結」を培うことを目的として、経験豊富な女性ジャーナリストによるリソース、イベント、啓発活動、メンタリングを提供している。同連合はアフガニスタン、パキスタン、中国、インドに支部がある。

 「Women in Media Network Japan(メディアで働く女性ネットワーク)」は、セクシャルハラスメントに対する#WithYou運動をきっかけに、女性ジャーナリスト86名によって2018年に創設された。

欧州のネットワーク

 英国では女性ジャーナリストのグループが、女性のためのプロフェッショナルなネットワークとして、そしてメディアにおけるハラスメントに対抗する手段として、「The Second Source(ザ・セカンド・ソース)」を2017年に創設した。この組織は社会の意識向上を図り、女性向けに自身の権利についての知識を提供し、業界を変えていくことを目的としている。ザ・セカンド・ソースは「プロのジャーナリストとしてキャリアをスタートさせる女性、業界を去ることを考えている女性、またはもっと目的意識が欲しいと感じている女性に向けた」メンターシップ・プログラムを開始した。キャリアに関するアドバイスを提供するにとどまらず、仕事に伴う困難にどう向き合うかについてもアドバイスを提供している。

 ロンドンに本拠を置く「Women in Journalism(ウィメン・イン・ジャーナリズム、WIJ)」は、英国のメディアで働く女性のためのプロフェッショナル・ネットワークである。WIJはセミナーや委員会を主催し、調査を行い、ネットワークづくりのイベントを開催するほか、キャリアや経験を問わず、女性ジャーナリストのためのメンタリング・プログラムを提供している。

 フランスの「Prenons la une」は、メディアにおける男女比率の適正化と報道機関の職業的平等の確立を主張する女性ジャーナリストの会である。数カ月おきに会合を開いており、差別やハラスメントに遭っている女性を支援している。

 ドイツの「Journalistinnenbund」は、ジャーナリストとして働く400名を超える女性による全国規模の世代横断的ネットワークである。1987年に創設された同組織は全国に地域レベルでのグループがあり、キャリアの浅いジャーナリストへのメンタリング・プログラムを提供している。

 「Chicas Poderosas Spain」は155名が参加する会議として2018年に発足した、ラテンアメリカのグループのスピンオフに当たる。Twitterアカウントは@PoderosasES

安全に関するリソース

 安全確保はすべてのジャーナリストが頭を悩ませる問題だが、女性の場合は特に、報道機関及び取材現場などでのジェンダーに基づく暴力、ハラスメント、差別、そしてオンラインでの不当な攻撃などの脅威にも直面することがある。

 「International Association of Women in Radio & Television(ラジオ・テレビで仕事をする女性のための国際協会)」は「Safety Handbook for Women Journalists(女性ジャーナリストのための安全ハンドブック)」を発行した。紛争地における女性レポーターに向けた95ページのガイドで、リスク・アセスメント、オンライン・ハラスメント、移動時の安全確保などについての章がある。

 「Physical Safety: Solo Reporting(身体的安全:単独取材)」と「Physical Safety: Mitigating Sexual Violence(身体的安全:性暴力の軽減)」は、2019年にCommittee to Protect Journalists(ジャーナリスト保護委員会、CPJ)が作成したリソースである。CPJは、このブログ記事でも言及されているように、米国とカナダの女性ジャーナリストが直面している安全性に関する問題について調査を行った。CPJの「Journalist Security Guide(ジャーナリストのためのセキュリティ・ガイド)」を補完する「CPJ Safety Notes(CPJ安全ノート)」に新たに加筆されたものである。

 International Women’s Media Foundation(国際女性メディア財団、IWMF)は、女性ジャーナリストの弁護士費用、医療費、移転費用などを支援する緊急基金を創設している。

 GIJNでは、安全ガイドや、危険な目に遭っているジャーナリストへの支援を提供する組織などに関する総合的な資料ページを編纂した。支援の分野は、医療や法的支援から、身の安全が懸念されるジャーナリストの国外への移動まで多岐にわたっている。

 European Centre for Press and Media Freedom(報道とメディアの自由のためのヨーロッパ・センター、ECPMF)は、女性ジャーナリストが暗号化されたメッセージで攻撃を通報し支援を求めることのできる通報センターを立ち上げた。送られてきたメッセージはECPMFの女性スタッフが開封し、通報の秘密は守られる。

 The International Federation of Journalists(国際ジャーナリスト連盟、IFJ)国際労働機関と協力し、女性ジャーナリストに対する暴力を根絶するキャンペーンを展開している。リソースには、ツールキット、出版物、関連政策へのリンクなどが含まれる。IFJは、問題に直接対処するため、そして各国政府に何らかの効果のある手段を講じるよう圧力をかけるための支援とリソースを提供している。2019年11月に、IFJは女性ジャーナリストに対するオンラインでの荒らし行為に集団として対抗するためのガイドラインを発表した。

 セキュリティ対策と同様に、セルフケアも安全確保と幸福にとって重要であることが今では広く知られている。バーンアウト(燃え尽き)の悪影響を最小限にとどめ、トラウマを軽減し、集中力を高めるため、IWMFが紹介する、特に女性ジャーナリスト向けに朝夕の運動として考えられたヨガの動画をチェックしてみてはいかがだろうか。

 Troll-Busters.comは、女性に焦点を絞った「ジャーナリストのためのオンライン害虫駆除」を提供する世界的なキャンペーンであり、オンラインでの脅迫やハラスメントの特定、軽減、通報を専門としている。また、特に女性ジャーナリストに向けたリソースや研修も提供している。

 PEN America(ペン・アメリカ)は最近、オンラインでのヘイトやハラスメントに対して身を守るための実践的ツールや戦術を紹介した「Online Harassment Field Manual(オンライン・ハラスメントに対する実践マニュアル)」を発行した。PENはこのマニュアルについて「サイバー・ストーキング、ドキシング、ヘイトスピーチなどのデジタル・ハラスメントに関するアドバイス、ガイダンス、リソースなどのワンストップ・ショップ」と説明している。事態に「どう対処すればいいか」という普遍的なアドバイスに加えて、関連する米国の方に関する情報も載っている。

 「Byte Back」キャンペーンは2016年にThe International Federation of Journalists(国際ジャーナリスト連盟、IFJ)が、アジア太平洋地域の提携組織と共にスタートさせた、女性ジャーナリストへのネット上でのいじめやオンライン・ハラスメントを止めるためのキャンペーンである。キャンペーンではオンライン・ハラスメントやネット上の荒らしに対抗するためのリソース、戦術、支援などを紹介している。

 Access Now’s Digital Security Helpline(アクセス・ナウのデジタルセキュリティ・ヘルプライン)は、全世界の個人及び団体と協力して、デジタル・セキュリティの向上を支援し、迅速に対応可能な緊急支援を2時間以内に英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、ロシア語、オーストロネシア語族の言語、タガログ語、アラビア語、イタリア語で提供するサービスを無料で提供している。

 「DIY Guide to Feminist Cybersecurity(自分でできるフェミニスト・サイバーセキュリティのガイド)」は、オンライン・トラッキングのブロック、迂回、匿名化、マルウェアへの対抗策、厳密認証、ソーシャルメディアでのプライバシー保護などのためのツールや、デバイスや通信の暗号化などを紹介している(スペイン語版)。

 Feminist Frequencyが作成した「Speak Up & Stay Safe (r): A Guide to Protecting Yourself From Online Harassment(声を上げ、安全を確保する®:オンライン・ハラスメントから自分を守る方法)」は、晒し行為(ドキシング)への対抗策、ソーシャルメディアやゲーミング・プラットフォームでのプライバシー確保、棲み分けの実施方法、認証セキュリティの強化、個人ウェブサイトのセキュリティ、郵便のプライバシー確保、その他関連するアドバイスなどについて説明している。

 Fundación Karismaが2015年にスタートさせた「Alerta Machitroll」は、デジタル環境での女性に対する暴力と闘うためのコロンビアに本拠を置くスペイン語でのキャンペーンである。同グループはオンラインでの通報サイトを提供しているほか、オンライン・ハラスメントに対抗する戦略をユーモア交じりに紹介している。

 Crash Override Networkリソース・センターは、ドキシング(プライバシーの暴露)や合意を得ていないプライベート画像の公開などオンラインでの権利侵害があった場合や、個人データ、パスワード、デバイスなどの保護に役立つツール、ガイド、サービスなどをリストアップしている。

 Online SOSは、あらゆる種類のオンライン・ハラスメントに対処している米国のジャーナリストを対象にした非営利団体であり、法執行、司法による救済、雇用関連の選択肢、ケース・マネジメント、プラットフォームの強化、専門家への紹介、危機的状況に対処するコーチングなどに関する無料のサポートを提供している。

 「Take Back the Tech」は、テクノロジーをコントロールして女性に対する暴力を終わらせるための世界的な協力キャンペーンである。テクノロジー関連のハラスメントの犠牲者に対する支援を行い、デバイス向けのデジタル・セーフティ・キットや、権利、セルフケア、及びサバイバー戦略のためのリソースなどを提供している。また、各地でのキャンペーンの企画をサポートし支援している。

 「The Worst (& Safest) Countries for Solo Female Travel in 2019(2019年版女性の一人旅が最も危険・最も安全な国)」は、旅行ジャーナリストであるAsher FergussonとLyric Bensonが50カ国を調査したものである。さらに、女性が一人で旅行する際に安全を確保するための42のヒントも含まれている。

 200ページに及ぶリソース・ガイド「Safety of Female Journalists Online(女性ジャーナリストのオンラインでの安全確保)」が、欧州安全保障協力機構(OSCE)のメディアの自由代表部(Representative on Freedom of the Media、RFoM)事務局により作成された。

安全に関するさらに詳しい情報については、GIJNのリソース・センター:ジャーナリストに対する緊急支援(Emergency Aid for Journalists)を参照のこと。

差別とハラスメントに関するリソース

 職場での差別とハラスメントは、多くの産業で蔓延している共通の問題であり、ジャーナリズムも例外ではない。外交問題評議会による最近の報告書によれば、女性が働くためには夫の許可が必要としている国が依然として18カ国あり、職場でのセクシャルハラスメントに対して法的な保護が確立されていない国が59カ国、女性が就くことのできる職業に制限のある国が104カ国ある。給与の格差全世界で見られる。以下に、職場での性差別とセクシャルハラスメントへの対処の助けとなる、現在入手可能なリソースのいくつかを挙げる。 

 Women in News(ウィメン・イン・ニュース、WIN)は、メディア組織の雇用者と従業員が自社内のセクシャルハラスメントの問題に取り組み、これを予防するためのキットを開発した。このキットには実践的なガイド、意識啓発ポスター、方針のサンプル、調査、連絡のためのテンプレートなどが含まれている。WINはまた、経営者が女性のためによりよい職場環境を整えられるように支援するさまざまなリソースを揃えている。WINはサブサハラ・アフリカ、中東、及び東南アジアで活動をしており、「Backstory」というポッドキャストでは報道機関における女性のリーダーシップの問題を掘り下げている。

 UNESCOと国際ジャーナリストセンター(ICFJ)は協力して、女性ジャーナリストに対するオンラインでの暴力に関する調査結果を発表した。「これまでオンラインでの暴力というテーマで実施された中でも最も総合的で地理的にも多様な」この調査は、113カ国の714名の女性ジャーナリストから回答を得ている。

 The International Federation of Journalists(国際ジャーナリスト連盟、IFJ)国際労働機関と協力し、女性ジャーナリストに対する暴力を根絶するキャンペーンを展開している。リソースには、男女の給与格差などに関するツールキット、出版物、関連政策へのリンクなどが含まれる。IFJは、ハラスメントを含むさまざまな問題に直接対処するため、そして各国政府に何らかの効果のある手段を講じるよう圧力をかけるための支援とリソースを提供している。

 米国のTIME’S UP Legal Defense Fund(タイムズ・アップ法的防御基金)では、職場でセクシャルハラスメントや報復を受けた経験のある女性に弁護士やメディアの専門家を紹介している。

 ワシントンに本拠を置くPress Forwardは、職場でセクシャルハラスメントを受けた女性ジャーナリストのためのステップ・バイ・ステップ式のガイドのほか、関連するリソースも提供している。これらは米国の法と政策を念頭に置いて作成されたものではあるが、他の地域でも役に立つ。

 フランスの「Prenons la une」は、メディアにおける男女比率の適正化と報道機関の職業的平等の確立を主張する女性ジャーナリストの会である。数カ月おきに会合を開いており、差別やハラスメントに遭っている女性を支援している。

 Brazilian Association of Investigative Journalism(ブラジル調査報道ジャーナリズムに関する連合、Abraji)は、業界内で女性が直面している問題に関する調査を実施した。この調査結果を踏まえ、「Mulheres No Jornalismo Brasileiro(ブラジルのジャーナリズムにおける女性)」はブラジルのメディア機関にジェンダーによるハラスメント、差別、暴力の問題に対処するよう勧告を行っている。2018年には、50名のブラジル人女性ジャーナリストが、#DeixaElaTrabalharというハッシュタグを使ってFacebookとTwitterでセクシャルハラスメントと差別に反対するマニフェスト動画を発表した。このハッシュタグのフレーズは「彼女に仕事をさせよ」という意味である。

 Cameroon Media Women(カメルーン・メディア・ウィメン)は#MeToo運動の広がりを受けて、WhatsAppのグループとメンバー限定のFacebookページを2018年に立ち上げた。カメルーンの国番号を入れた#StopSexualHarassment237のハッシュタグを使い、報道機関で女性が直面する問題について女性ジャーナリストがTwitter上で議論を行い、動画などをシェアした。

 #MeToo運動はアジアにも足跡を残している。「Uncovering Asia 2018」におけるGIJNのパネルディスカッションでは、女性ジャーナリストが中国と日本におけるセクシャルハラスメントと性的暴行に関する調査と取材に関するエピソードやヒントを共有した。また、GIJNの香港支部も中国における#MeToo運動の取材において調査報道ジャーナリストが果たしている役割について連載している

 日本の女性ジャーナリストは#WithYou運動を通じてセクシャルハラスメントと闘っており、最近になってメディアで働く女性ネットワークを立ち上げた。このグループはまた、日本の女性ジャーナリストが経験したセクシャルハラスメントについての匿名報告をまとめた記録を出版している。

 英国のザ・セカンド・ソースはメディアにおけるハラスメントに対抗する手段として創設された。この組織は社会の意識向上を図り、女性向けに自身の権利についての知識を提供し、業界を変えていくことを目的としている。

 フランスでは2018年11月に、400名を超える女性ジャーナリストがPrenons la uneと共に、#NousToutesというハッシュタグで性差による暴力に連帯して対抗する嘆願書に署名した。

 ウィメン・イン・ニュースが最近実施した調査「Glass Ceilings: Women in South African Media Houses(ガラスの天井:南アフリカの報道機関で働く女性たち)」は、メディア組織で広く見られる男女差別に関する問題を取り上げ、それらの問題に取り組むよう勧告を行っている。

 デジタル・ウィメン・リーダーズは女性ジャーナリストに対し、30分間の一対一のコーチングを無料で提供している。コーチングには職場での差別、ハラスメント、給与格差などの内容が含まれる。

 Totem Projectは国際女性メディア財団(IWMF)と協力し、ハラスメントに関して複数言語によるオンラインコースをいくつか立ち上げた。

Image: Shutterstock

メンターを探す

 メンターは、プロジェクトの推進、公平な給与をめぐる交渉、不健全な職場環境や同僚との困難な人間関係の克服など、幅広い問題について有益な経験と知識を有している。自分にとってぴったりのメンターと出会えるまでには時間がかかるかもしれないが、特に女性ジャーナリスト向けには、多くのリソースが用意されている。

 デジタル・ウィメン・リーダーズは女性ジャーナリストに対し、30分間の一対一のコーチングを無料で提供している。リストアップされているコーチのほとんどは米国のメディアで働いているが、世界の他の地域からも何人かが参加している。それでも、たとえば職場での差別や給与格差などのいくつかの問題は普遍的なものとして役に立つ。

 英国では、ザ・セカンド・ソースが「プロのジャーナリストとしてキャリアをスタートさせる女性、業界を去ることを考えている女性、またはもっと目的意識が欲しいと感じている女性に向けた」メンターシップ・プログラムを開始した。キャリアに関するアドバイスを提供するにとどまらず、仕事に伴う困難にどう向き合うかについてもアドバイスを提供している。

 米国に本拠を置くジャーナリズムと女性のシンポジウム(JAWS)は、会員向けに通年のメンタリング・プログラムを提供している。助言を受ける側は、ニーズや場所などを考慮した上でメンターとペアを組んだ上で、それぞれに合った独自のスケジュールや連絡方法などを決める。プログラムは、キャリア・コーチング、履歴書の書き方、就職の面接、マネジメントとリーダーシップ、執筆のコーチング、昇給交渉などのテーマについて支援を提供している。

 女性ジャーナリスト連合は、メキシコ、ラテンアメリカ、及びアジアの経験豊富な女性ジャーナリストからのメンタリングを提供している。

 Chicas Poderosasは13カ国に支部がある。調査報道ジャーナリズムのワークショップやハッカソンを主催し、リーダーシップ、デジタル、新メディアのスキルなどに関して女性を対象に研修を行い、メンタリングやフェローシップを支援している。

 ロンドンに本拠を置くウィメン・イン・ジャーナリズム(WIJ)は、英国のメディアで働く女性のためのプロフェッショナル・ネットワークである。WIJはキャリアの浅い、又はより高い地位を目指す経験豊富な女性ジャーナリストのためのメンタリング・プログラムを提供している。

 ウィメン・イン・ニュースは、サブサハラ・アフリカ、中東、及び東南アジアの女性ジャーナリストに向けて、ファシリテーター付きのグループ・メンタリング及びコーチングを提供している。

 Journalistinnenbundは、ドイツのキャリアの浅い女性ジャーナリストのためのメンタリング・プログラムを提供している。

 米国に本拠を置くLatinas in Journalism Mentorship Program(メディアで働くラテン系女性のためのメンターシップ・プログラム)は、報道関連に従事し、業界内のラテン系同僚のメンターを探しているラテン系女性・ノンバイナリーのジャーナリストのためのプログラムである。

助成金及びフェローシップ

 性自認が女性である者及び/又は女性に関する記事を対象とした助成金や奨学金のリストを以下に挙げる。

 男女両方が利用できる助成金やフェローシップの総合的なリストについては、GIJNのリソース・ページを参照のこと。

 International Women’s Media Foundation(国際女性メディア財団、IWMF)は、年間を通じて期日の異なる助成金を世界中の女性ジャーナリストに対して支給している。たとえば、「Women’s Health Reporting(女性の健康に関する報道)」は、Women’s Equality Centerとの提携により、南北アメリカの性と生殖に関する健康、権利、及び正義に関する報道を対象としている。「Reporting Grants for Women’s Stories(女性の記事のための取材助成金)」は、The Secular Societyとの提携により、報道の不十分なテーマに関するジェンダーに配慮した報道が対象である。また「Kim Wall Memorial Fund(キム・ウォール記念基金)」は、ウォール一族との提携により、サブカルチャーに関する報道を対象としている。またIWMFは、教育の機会提供、調査報道、メディア開発計画などのプロジェクトを支援する「Howard G. Buffet Fund for Women Journalists(ハワード・G・バフェット女性ジャーナリストファンド)」も運営している。

 「The Jamal Khashoggi Award for Courageous Journalism(勇気あるジャーナリズムのためのジャマル・カショギ賞)」は、テキサス州オースティンの家族財団であるインティライミ・ファンド(Inti Raymi Fund, IRF)がスポンサーとなって新たに設けられた助成金である。35歳未満のジャーナリスト及びライターによる、人権侵害、女性の権利、人身売買、性的搾取、汚職及び権力の乱用、及び気候変動をテーマにした調査報道プロジェクトの取材費用として、最高5000ドルが給付される。

 「Kenya Media Program(ケニア・メディア・プログラム)」は、政治、公共サービスの提供、憲法の実施、免責、説明責任、選挙などに関する調査報道及び公益に資する報道を対象とした、ケニア人ジャーナリスト向けの助成金を給付している。

 WanaDataはアフリカの女性のジャーナリスト、データ科学者、及びコンピュータ技術者が、データに基づく記事を作成するために協力しているネットワークである。このネットワークと協力者は最近、ウガンダの女性ジャーナリストのためのデジタル・ジャーナリズム研修プログラムの提供を始めた。

 ナイジェリアのラゴスに本拠を置くWole Soyinka Center for Investigative Journalism(ウォール・ソインカ調査報道ジャーナリズムセンター)は、Free Press Unlimitedの支援を得て、「Female Journalists Leadership Fellowship(女性ジャーナリストのリーダーシップ・フェローシップ)」を主催している。このプログラムは3年以上の経験を持つナイジェリアの女性ジャーナリストのエンパワーメントを目指すもので、彼女たちが出版社内でリーダーとしての地位を獲得し、女性ジャーナリストのネットワークを構築できるよう、スキル開発、支援、ツールを提供している。

 米国に本拠を置くOnline News Association(オンライン・ニュース協会、ONA)は、「Women’s Leadership Accelerator(女性のリーダーシップ推進)」を主催している。これは「デジタル・イノベーションを進めている女性にリーダーシップとマネジメントのスキルを提供する」ための一年間に及ぶプログラムである。さまざまな経歴・専門知識を持つ英語話者の参加者が、毎年、世界各国の報道機関から選ばれる。このプログラムの一週間の集中研修は米国で行われる。ONAはまた、オンラインで入手可能な研修資料も公開している。

 「Poynter Leadership Academy for Women in Media(メディアで働く女性のためのポインター・リーダーシップ・アカデミー)」は、正式なリーダーとしての経験が1年から5年までの、人材を直接管理する立場にある女性のために設計されたプログラムである。また、「デジタルメディアとジャーナリズムで活躍している女性」のためのポインターのニュースレター「The Cohort」を登録して受け取ることもできる。

 ウィメン・イン・ニュースはサブサハラ・アフリカから50名、中東及び北アフリカから30名の、中級~上級職の編集者やベテランのジャーナリストである女性を毎年選出し、報道機関でのマネジメント、リーダーシップ、編集スキルの促進を図っている。プログラムではオンライン・リーダーシップとメディア・マネジメントの研修、一対一のコーチング・サポート、ピア・メンタリング、全国規模・地域別のネットワーク構築などをカバーしている。

 Chicas Poderosasはラテンアメリカとスペインの合計13カ国に支部があり、米国の報道機関においてもフェローシップを主催している。また、同じ組織によるNew Ventures Labは、女性が率いる独立系メディア・ベンチャーに対し、ガイダンスと資金を提供している。

 Foreign Policy Interruptedは、外交政策の舞台で活躍する女性にフェローシップ・プログラムを提供している。このプログラムでは、オンラインの教育モジュールと編集関係者のコネクションを通じて、メディア及びブランディングのスキルを構築することに焦点を当てている。プログラムには全世界の女性が参加できる。

 Doria Feminist Fund(ドリア・フェミニスト基金)(中東・北アフリカ地域)は、アラブ諸国の新しい、及び実績のあるフェミニスト団体に対し、その活動を継続し確立するための助成金を給付している。

女性を対象にした賞

 受賞は、知名度を高め作品に注目を集めるのに非常に効果的である。国際的なエントリーが可能な、世界規模・各地域で行われている賞についての総合的なリストは、GIJNのリソース・ページを参照のこと。機会は豊富にある。以下に挙げる賞は女性または性自認が女性である個人のみを対象にしている。

 International Women’s Media Foundation(国際女性メディア財団、IWMF)は、真実を明らかにするために危険に立ち向かい、脅威や脅迫にさらされながらの報道に立ち向かう女性ジャーナリストを称える「Courage in Journalism Awards(ジャーナリズムの勇気賞)」のスポンサーである。賞は全世界の女性ジャーナリストを対象にしており、候補者は財団が選出する。

 IWMFの「Lifetime Achievement Award(生涯功労賞)」は、メディアの自由を推し進め、全世界に女性の声を届けるために格別の力と意志を示した草分け的な存在の女性リーダーを称える賞である。この賞の候補者には引退したジャーナリストも含まれる。

 ウィメン・イン・ニュースの「Editorial Leadership Award(編集リーダーシップ賞)」は、サブサハラ・アフリカで1名、中東及び北アフリカで1名の女性編集者を表彰する。この賞は、報道機関において称賛すべき貢献を行った女性と、彼女たちのリーダーシップの下でそのメディアが行った社会への貢献を評価するものである。

 International Association of Women in Radio & Television(ラジオ・テレビで仕事をする女性のための国際協会)は、放送業界や電子メディアなどで働く女性のための世界的なネットワークであり、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米に支部を持つ。「IAWRT Documentary Awards(IAWRTドキュメンタリー賞)」は、社会的影響、イノベーション、新たな才能の3つのカテゴリーについて、2年ごとに1,000ドルの賞金を給付している。全世界のラジオ、テレビ、及びデジタルメディアで仕事をしている女性のプロデューサー、ディレクター、及びジャーナリストなら誰でもエントリーが可能である。

 「Caroline Jones Women in Media Young Journalists Award(キャロライン・ジョーンズ・メディアで働く女性の若手ジャーナリスト賞)」は年に一度、オーストラリアの地方で働く若い女性を表彰する。受賞者には個人的な学習のための資金、メンタリング、さらにジャーナリズム、政治、ガバメントをキャンベラで集中的に経験できる研修旅行が授与される。

女性の専門家を探す

 多くの調査結果が示すように、女性の専門家がメディアに登場する機会が不当に制限されている現象は全世界で見られる。専門家の男女比を適正なものにするための働きかけは、現状を変える力となる場合がある。

 2018年にスタートしたBBCの「50:50プロジェクト」は、BBCのラジオ、テレビ、及びオンラインのコンテンツに登場する女性の割合について記録をつけている。グローバル・メディア・モニタリング・プロジェクトは、世界のメディアのジェンダーに関する縦断的研究としては最大かつ最長のものである。

 GIJNは、ジャーナリストが専門家の検索に使用する機能的で信頼できるデータベースについてリソース・ガイドを作成した。女性の情報源について検索したい場合は、他にも以下が役に立つ。

 「500 Women Scientists(500名の女性科学者)」がスポンサーを務める「Request a Woman Scientist(女性科学者リクエスト)」のプラットフォームを使えば、ジャーナリストはさまざまな分野の広範なネットワークから、プロジェクトのコラボレーション、会議、パネルなどのための、特定の内容を専門とする厳選された女性科学者を探すことができる。

 Women’s Media Center(女性メディアセンター)による「SheSource」は、1100名を超える全世界のさまざまなトピックに関する厳選された女性専門家のデータベースで、氏名、キーワード、専門分野での検索が可能である。略歴と写真を参照することができ、専門家へはウェブサイト上のフォームから連絡することができる。

 「Women Plus」は、750名を超える自薦「テクノロジー専門家」をカテゴリー別に整理したリストである。

 「The Women’s Room(ザ・ウィメンズ・ルーム)」は、認証を受けたジャーナリストが使用できるように設計された女性専門家に関する世界的なデータベースである。専門、キーワード、地域などで検索ができる。また、関連するトピックについてチャットできるディスカッション・フォーラムも備えている。

 外交政策に女性の声をより大きく反映させるために発足したForeign Policy Interrupted(FPI)は、世界の女性外交政策専門家のリストがあり、現在ニュースになっている関心のある分野別に分類が可能である。FPIはまた、女性専門家のためのツールや研修も提供している。

 「Quote This Woman+」は南アフリカのNPOで、農業からゼノフォビアに至るまでさまざまなトピックに関する200名を超える女性専門家のデータベースがある。このグループはまた、さほど緊急でない場合には特定の専門家を探す支援も提供している。このNPOは情報源の男女差をなくすためのロビー活動を行い、話題となっているテーマにおける専門家の男女比をモニターし、女性専門家へのメディア研修を実施している。話題のニュースに関する専門家のリストを入手できるニュースレターに登録することもできる。

 「Voces expertas」は、ジャーナリストが助言を得ることのできるラテンアメリカの女性専門家オンラインの名簿(スペイン語)である。

 この公開名簿には257名の日本・韓国の女性専門家、495名の香港、マカオ、中国本土、台湾の女性専門家がリストアップされている。

 「Women Make the News – Thailand(女性がニュースを作る―タイ)」は、ジャーナリスト向けに設計されたタイの女性専門家のデータベースである。分野、専門、テーマ、場所、キーワードで検索できる。

 ワシントンDCに本拠を置く政策シンクタンクであるThe Brookings Institution(ブルッキングス研究所)は、米国で活動する女性、又は十分に代表されていないジェンダーを自認するテクノロジー政策専門家600名以上のリストである「Women + Sourcelist」を編纂した。ジャーナリストはこのリソースを使って、経歴や専門別に専門家を検索することができる。

 「Women Also Know Stuff」は政治学の専門家に特化したものだが、他にも多様なテーマを専門とする世界各国の女性を紹介する50の外部サイトをリストアップしている。

 「Women for Media」は、200名を超えるオーストラリアのトップクラスの女性専門家及びリーダーのデータベースであり、氏名・キーワードで検索できる。

 「ExpertWomen」は、カナダの女性専門家のデータベースである。キーワードで検索ができ、連絡先ボタンで効率的な連絡ができるようになっている。

専門家に関するさらに詳しい情報については、GIJNのリソース・センター:情報源としての専門家を探す(Finding Expert Sources)を参照のこと。

調査報道ジャーナリズムで活躍する女性たち

 ハンブルグで開催された第11回世界調査報道ジャーナリズム会議(Global Investigative Journalism Conference)(#GIJC19)において、10名の女性調査報道ジャーナリストがそれぞれの実体験を語り、ジャーナリズムの現状と女性が直面するさまざまな問題に光を当てた。ディスカッションの動画はこちらから、もしくは下の動画で視聴できる。

 GIJNの第10回世界調査報道ジャーナリズム会議では、スクープをものにしてきたトップ女性ジャーナリストが、伝統的に男性優位である分野における8つの成功の秘訣を紹介した。

 インドでは、女性ジャーナリストが女性に焦点を絞った地方紙を創刊し、現在では全国規模の現象となっている。

 メキシコでは、女性は調査報道ジャーナリズムの最前線に立っており、ピューリツァー賞やハーバード大学ニーマン・フェローの受賞者などを輩出している。

 ブラジルでは、女性ジャーナリストが「#OneByOne」プロジェクトを立ち上げ、ブラジル北東部のペルナブーコ州において殺害された女性について報じている。

 米国では、調査報道ジャーナリズムの黄金期の先頭に女性が立っているということが2018年の「#WomenWhoDare」での対話集において主張されている。

 米国の2名の教授による共著『Data Feminism(データ・フェミニズム)』は、フェミニスト的思考が「データ・サイエンスやコミュニケーションの分野にも応用できる」ことを検証している。この原稿については現在ピアレビューとコメント付与が行われているが、データ・ジャーナリズムについて多くの事例を引き、「あらゆる種類の構造的不平等とパワーの不均衡に対抗する」ためにデータを利用している。

 世界中のジェンダー、性別、及び社会正義などの問題を取り上げるopenDemocracyの独立系メディアである「50.50」が司会進行を務めたパネルディスカッション「Why we need feminist investigative journalism(フェミニスト調査報道ジャーナリズムが必要な理由)」の様子はここから視聴できる。50.50は最近、「Tracking the Backlash(バックラッシュの追跡調査)」という調査プロジェクトを立ち上げ、性と生殖に関する権利の推進に反対する保守的な原理主義団体のネットワークを調査している。

 「Refuge Woman」は、英調査報道ジャーナリズム事務局によるユニークなプロジェクトで、ドメスティック・バイオレンスに関する調査報道記事を発表した。


 このリソース・パッケージのとりまとめに当たり、GIJNの寄稿編集者であるキラ・ザラン(Kira Zalan)の協力を得たことに感謝する。女性ジャーナリストのリソースについて何か漏れがあれば、メールでご提案頂きたい。リストを拡充していく予定である。


原文はこちら:GIJN Guide: Resources for Women Journalists
この翻訳はGoogle News InitiativeとGoogle Asia Pacificの支援を受けて行われました。
This translation is supported by the Google News Initiative and Google Asia Pacific.
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