報道実務家フォーラム2020 Online【第1部】講座詳細・講師紹介

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9月18日(金)19:30-
オープンデータはこんなに使える~取材が“楽”になるテクニック

超実用的な名物講座、3年連続でやります!  調査報道といえば、とにかく「情報公開」と思っていませんか?でも、実は取材に役に立つデータがオープンになっているケースは、たくさんあります。個人の情報から当局の調べの内容まで、びっくりするような情報や取材の端緒が手に入ることも。  この講座では、NHKで毎年行われている「調査報道研修」で10年以上講師を務めているデスクに、「国や自治体」「個人の情報」「企業や経済活動」「NPOなど様々な法人」など様々なジャンルで、すぐに使える情報やデータの入手方法を、実例をもとに紹介してもらいます。毎年の講座で紹介しているテクニックの「復習」が中心なので、これまで参加されていない方におすすめ。ただ、手法のリニューアルや、新たに開発したものも少々。もともとは講師が「手抜き」のために開発したテクニック、これさえ聞けば、普段の取材が格段に楽になる?知っておかないと損!

熊田安伸
NHK ネットワーク報道部 専任部長

1967年生まれ、早大卒。90年NHK入局。沖縄局、報道局社会部で国税・外務・国会を担当し「公金」テーマに調査報道。新潟局、仙台局では震災報道を指揮。06年、裁判でスクープの取材源秘匿のため証言を拒絶し、最高裁が認める初の判例に。17年、デジタルと地方局のネットワークを融合した新部署を立ち上げ、新しい報道の発信方法を開発。Nスペ「追跡 復興予算19兆円」でギャラクシー大賞等。「調査報告 日本道路公団」で芸術祭優秀賞。

9月25日(金)19:30-
最先端デジタルツールを使った情報収集と表現

「記者はインターネット上でどう取材するか?」「どう記事をデジタルで表現していくか?」。Google News Lab はテクノロジーやデジタルツールを取材・報道に活用する方法を伝える活動をしているGoogleのチームです。今回の講座では、8月までNews Lab に所属された井上さんに、ネット上にある様々な資料や画像を探す方法をご紹介していただきます。近年はSNS上などでの偽・誤情報の拡散も問題となっていますが、各種ツールを使って真偽を見極める方法もお話していただきます。デジタル上での報道表現については、新型コロナウイルス報道において国内外の報道機関が利用している簡易なビジュアライゼーションツールを紹介してもらうほか、データや衛星写真を活用してどのような報道ができるのか、新しい視点・切り口で読者に記事を伝える工夫をしている国内外の報道事例を共有していただきます。

井上直樹
元Google News Lab ティーチングフェロー

銀行員を経て2008年熊本日日新聞に入社。西日本新聞を経て18年〜20年8月にNews Lab フェロー。記者として経済全般や子どもの貧困などを取材。市議会の議事録データ活用や天気予報原稿の自動作成といった報道手法に取り組む。Googleではデジタル技術関連の研修などの報道支援を進める。報道機関24社がコラボしてアスリートの言葉を紹介するサイト「コトバのチカラ」に協力。熊本県出身。

10月2日(金)19:30-
コロナ禍どう報道する~現場の難題と調査ノウハウ活用術

「コロナ病院取材」リスク管理やオンライン取材どうしてる?「専門家会議 黒塗り 速記録入手」情報公開請求どうやった?「木曜日に感染者数急増のカラクリ」分析報道って?歴史的事態として今や最大の取材対象となった コロナ問題 。テレビ局では取材でどんな難題に直面し、調査ノウハウを生かしているのでしょうか。硬派というより柔らかいイメージのあるフジテレビで、調査報道でスクープを連発し、コロナ取材班をまとめる知野雄介記者にその裏側を明かしてもらいます。知野記者は、ギャラクシー賞を受賞した「除染マネー」問題で、大手ゼネコンと下請けの癒着を暴きゼネコン執行役員は辞職、除染会社役員が年43億円もの巨額報酬を得ていることを明らかに。国税なども動かし8億円が国庫に戻る見込みとなりました。また外交官車の放置違反金踏み倒しを暴いた「外交特権悪用」報道も話題になりました。テレビならではの調査報道術についてもお話ししてもらいます。

知野雄介
フジテレビジョン 社会部遊軍キャップ

2003年入社。社会部で警視庁、検察、宮内庁を担当。3・11や福島原発事故後初公開を取材。NY特派員を経て17年から遊軍で調査報道など行う。「除染マネーと原発関連不正を巡る一連の調査報道」でギャラクシー賞報道活動部門奨励賞。

10月9日(金)19:30-
オンライン取材の実際と落とし穴ー100年に一度の大変革期に直面するー

新型コロナウイルスは、世界を一変させました。「人と会う」ことや外出が困難となり、私たちの取材活動も影響をモロに受けることとなりました。取材の根本である「人の話を聞くためにどうすれば良いのか」「記者会見はどのような形で臨めばいいのか」ーー。答えの見つからない中で、メディア関係者誰もが同じスタートラインに立ち、手探りの試行錯誤が始まりました。本講義ではオンライン取材に至るこれまでの取り組みや課題について、朝日新聞社の事例をベースに失敗談を交えながら、そして、オンライン形式で開かれるようになった記者会見について、実際の事例をもとにした経験談や気づいた問題点などを話していただきます。

須藤龍也
朝日新聞 編集委員・サイバーセキュリティ担当専門記者

1994年、朝日新聞社にエンジニア(技術職)として入社し、99年に記者職へ転向。東京本社社会部、特別報道部などを経て15年から現職。主にネット犯罪やインターネットの安心、安全をテーマに取材を続ける。近年では「神奈川県庁のハードディスク転売事件」(19年)、「三菱電機へのサイバー攻撃」(20年)の特報を手がける。

10月16日(金)19:30-
情報公開活用術 専門家が疑問に答えます!

情報公開制度を取材に活用してきた人、これから活用してみようと思っている人は少なくないのではないでしょうか。でも、どういう場面で使うのが効果的なのか、開示請求書に何を書いたらほしい情報が得られるのか、役所の人とどう交渉したらいいのか、「不存在」と言われたり、真っ黒塗りだったりしたらどうするか――など迷うことも少なくありません。 「こんなことを調べてみたい」というアイデアを、実際の情報公開請求にどう落とし込んむのか。情報公開制度を活用する実践的なテクニックを、長年情報公開制度や公文書管理制度の改善や利用推進に取り組み、自身もさまざまな情報公開請求に取り組んできた三木由希子さんと探ります。 参加者の皆さんが三木さんから助言を受けられる「ヘルプデスク」としての講座でもあります。ぜひ皆さんの取り組んできた、あるいは取り組もうとしている具体的なケースを持ち寄っていただき、大いに議論しましょう。

三木由希子
情報公開クリアリングハウス 理事長・専修大学非常勤講師

情報公開制度や公文書管理制度など、公的機関のアカウンタビリティを高め、知る権利が保障される社会に向けて、政策面、実践面で様々な活動を行うとともに、自治体・国の制度・政策づくりや自治体の制度運用に第三者機関委員として関わるなど、制度利用者と行政の現実の間を行き来している。報道関係者も含め情報公開制度利用者の支援も行っている。

10月23日(金)19:30-
ハウツー調査報道 リサーチ編

調査報道の手順と方法のうち「リサーチ」についてできるだけ具体的・実践的に説明します。ノウハウを知っているのと知らないのとでは大違いのリサーチ。端緒を得たときに、どこをどうリサーチしていけばいいのか。必ず押さえなければならないポイント、知っていれば簡単に使えるポイントを基礎から解説します。グーグル、過去記事データベース、図書館蔵書、国会図書館オンライン、国会会議録データベース、法令データベース、裁判例データベース、官報データベース、登記情報、gBizINFOの検索、現場視察、職員録入手など、通常必ずやるべきことに加え、金融庁の企業情報開示サービスEDINET、建設情報総合センター、過去のウェブサイトの履歴を探せるarchive.orgやwarp.da.ndl.go.jpなども。建設業許可申請書類や宅地建物取引業免許申請書類、政治資金収支報告書の閲覧制度、米連邦裁判所記録や米国立公文書館のデータベースへの入り口も紹介します。初心者向け。

奥山俊宏
朝日新聞 編集委員

1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部などを経て特別報道部。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。 著書『秘密解除 ロッキード事件』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。