2021春オンライン​【講座詳細・講師紹介】

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【第1回】4月24日(土)10:30 – 12:00
デジタル調査報道やってみた Nスペ『謎の感染爆発』はどう作られた?

衛星画像や航空画像データを使った調査報道、SNSの分析、論文などオープンデータのAI解析…。 NYタイムズやBBCといった世界の大手メディアはいま、デジタル上から収集できる「オープンソース」を使った調査報道を強化するため、特別チームを組織するなど「オープンソース・インベスティゲーション」が世界的な注目を集めています。 NHKでも、昨年12月27日に放送したNHKスペシャル「謎の感染拡大~ウイルス発生の起源を追う~」にて、オープンソース調査の取材手法を用いた番組を制作しました。 目に見えないウイルスの発生起源をどのようにデータでたどればよいのか。発見したデータは信頼に足るものなのか。番組放送に至るまでには、何度も壁にぶち当たり、暗中模索の日々が続きました。今回、番組の制作にあたったディレクターが、番組を通して見えてきた「オープンソース」の課題や、落とし穴、その可能性について語ります。

浄弘修平
NHK報道番組センター社会番組部

【第2回】5月8日(土)10:30 – 12:00
ノンフィクション定額課金サービス「SlowNews」が挑戦する調査報道支援の取り組み

ニュースアプリを展開するスマートニュースの子会社スローニュースが、「SlowNews」というノンフィクションの定額課金サービスを今年2月にスタートしました。 『江夏の21球』や『ネットと愛国』といったノンフィクション書籍の傑作や、ガーディアン、プロパブリカといった海外メディアの調査報道記事、そして同社の「調査報道支援プログラム」によるジャーナリストやノンフィクション作家のオリジナル記事が自由に読めるサービスです。 スローニュースは調査報道やノンフィクションを育てることを目的にしており、調査報道支援プログラムは、取材費や経費をジャーナリストやメディアに提供することで、費用のかかる取材を支える仕組みです。作家や編集者、出版社が参加をしています。今回、スローニュース代表である瀬尾傑さんに、SlowNewsの狙いや調査報道支援プログラムの取り組みについて話をしていただきます。

瀬尾傑 
スローニュース株式会社 代表取締役、インターネットメディア協会代表理事
1965年生まれ。 日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社後、 『日経ビジネス』編集部などを経て93年講談社に転職。 『月刊現代』、『週刊現代』副編集長、『現代ビジネス』編集長、第一事業戦略部部長などを歴任。2018年8月にスマートニュースに入社、『スマートニュース メディア研究所』 所長に就任。19年2月に調査報道の支援を目指す子会社、スローニュースを設立、代表取締役に。インターネットメディア協会代表理事

【第3回】5月22日(土)10:30 – 12:00
ヘイトスピーチをどう報じるか

今年はヘイトスピーチ解消法成立から5年です。街頭での激しいヘイトデモは減っているようにも見えますが、街宣だけでなくネット上や選挙運動などさまざまな現場でヘイトスピーチが行われ、被害が減ったとは言いがたく、依然として深刻な社会問題となっています。言い換えれば、割と身近なところで起きている問題と言えます。 ただ、いざ取材をしようとすると「ヘイトスピーチ被害は深刻で取材したいが、トラブルに巻き込まれそう」「どう報じたらいいのか」 といった不安や悩みを抱く方も多い――と思います。取材することで生じるリスクにどう対処し、いかに取材を進めて形にするのかを考えておくことで、取材は格段にしやすくなります。現場で試行錯誤しながら報じ続けてきた神奈川新聞の石橋学記者、共同通信の角南圭祐記者、毎日新聞の後藤由耶記者が問題に詳しい師岡康子弁護士とともに考えます。

石橋学
神奈川新聞編集委員
1971年、東京都生まれ。94年、早稲田大学卒業、神奈川新聞社入社。遊軍、運動部、報道部デスクなどを経て2018年から川崎総局編集委員。15年に平和・協同ジャーナリスト基金賞・奨励賞、16年に日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞した連載「時代の正体」取材班。差別に抗う報道で20年度新聞労連ジャーナリズム大賞・特別賞。共著に「ヘイトデモをとめた街」「時代の正体」(ともに現代思潮新社)など。

師岡康子
弁護士(東京弁護士会所属)、国際人権法学会理事、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員
ヘイト・スピーチとは何か』(岩波新書2013年)を出すなど、日本におけるヘイトスピーチ問題の第一人者。07年ニューヨーク大学 ロースクール、08年英キ ール大学大学院、10年キングズカレ ッジ・ ロースクール留学。国際人権基準に合致する差別禁止法の制定を訴える。

角南圭祐
共同通信記者
1979年、愛媛県 出身。2002年大阪外国語大学卒業、愛媛 新聞社入社。社会部などを経て 退社し、06年から韓国で フリージャーナリスト。09年、共同通信社に入社。大阪社会部、福岡編集部、社会部などを経て20年から広島支 局次長 。「共同通信ヘイト問題取材班」の一員。専門分野は日韓の戦後補償問題や在日コリアンを取り巻く問題。著書に「ヘイトスピーチと対抗報道」(集英社新書、21年4月)

後藤由耶
毎日新聞記者
1981年、東京出身。08年、毎日新聞入社。大津支 局、大阪本社写真 部を経て、東京本社 写真映像報道センター記者。映像 を使った取材を担当 。1 3年から、ヘイトスピーチ問題を取材。

【第4回】6月12日(土)10:30 – 12:00
子育て記者の現在とこれから

報道現場で、子育てと仕事の両立をどう実現するか。長時間勤務、呼び出し、転勤…ときつい条件がある中、ジャーナリズムをしっかり担いながら子どもを育てる喜びも満喫する方法を、多くの記者仲間たちが模索しています。NHKの野田綾記者は3人の子育てをしつつ児童虐待、社会的養護などを精力的に取材。所属の部は同僚との相互支援や在宅勤務の取り組みを進めているそうです。読売新聞の小澤妃記者は日銀クラブで生損保などを担当。2人の子育てと仕事の両方に奮闘中です。東奥日報の山口拓郎記者は、社内の男性社員で初めて育児休業を取得し、連載「君と暮らして パパの育休奮闘記」を執筆しました。共同通信の香高重美・生活報道部長は、部を統括しながら多くの子育て記者たちとも向き合い、昨年までは総務局で職場の多様性推進を担当していました。 子育て記者の幸せなくして報道界の発展なし。多彩な4人から何が飛び出すか…これからの記者像も交えて議論したいと思います。

野田綾
NHKネットワーク報道部記者
11歳8歳3歳の3児の母。第一子出産をきっかけに、子どもの健全に育つ権利に関心を持つようになり、児童虐待や社会的養護などについて取材している。また、育児における不安や孤独に寄り添いたいと、特設サイト「孤育てひとりで悩まないで」を立ち上げ、親を育児において孤立させないための情報を発信している。

小澤妃
読売新聞経済部記者
1982年生まれ。2005年、法政大卒業、読売新聞東京本社入社。東京・立川支局、東京本社編成部を経て、経済部。現在は、日銀クラブで生損保などを担当。2児の母。

山口拓郎
東奥日報社報道部記者
1983年青森県生まれ。2007年東奥日報社入社。社会部での司法担当を振り出しに労働行政、スポーツなどを担当。整理部を経て、2016年リオ五輪担当。18年12月から約3カ月半、社内の男性社員で初めて育児休業を取得し、連載「君と暮らして パパの育休奮闘記」を執筆した。復職後、19年から司法担当キャップ。調査報道や汚職事件などの取材に当たる。

香髙重美
共同通信生活報道部長・前人事部担当部長
1990年入社、98年金融証券部、04年経済部、経済部デスク、ニュースセンター整理部次長などを経て名古屋支社経済部長。人事グループ管理職を経て、20年9月から現職。金融や素材、自動車、航空運輸業界、財界、農業などを取材した。現在は社会保障、労働政策、ジェンダー問題などを取材する部署の管理職。

【第5回】6月26日(土)10:30 – 12:00
日本に流入する中国「闇」ワクチンの実態はこう取材した

毎日新聞が2021年の元旦1面トップで報じたのは、中国で製造された新型コロナウイルス感染症の未承認ワクチンが20年11月以降、日本に持ち込まれ、大企業の経営者など一部の富裕層が接種を受けているという驚くべき事実でした。その背景にはワクチンを利用して影響力の拡大を図る中国政府の影もちらつきます。「コロナで変わる世界」という連載企画の一環として掲載されたこの記事は、どのように端緒をつかみ、どのように取材相手にアプローチして生まれたのでしょうか。経済部編集委員として取材にあたった鳴海さんに話していただきます。

鳴海崇
毎日新聞デジタル報道センター副部長
青森県出身。2001年、毎日新聞社入社。新潟支局、東京・大阪社会部、サンデー毎日編集部、経済部編集委員などを経て4月から現職。連載「チャイナ・センセーション」で「闇の代理出産ビジネス」を特報し、取材班として第21回新聞労連ジャーナリズム大賞を受賞。偽母乳販売や暗号資産によるマネーロンダリングなど、アンダーグラウンドの調査報道を多く手がける。

【第6回】7月10日(土)10:30 – 12:00
世界への扉を開こう~留学・語学・国際イベントヘルプデスク

世界を知り、視野を広げ、最先端のスキルやデジタル技術を身につけたい――と思ったら、留学という道があります。欧米の大学には現役ジャーナリストのためのプログラムがあります。専門分野の知見を高めるために大学院に留学するという選択もあります。留学までしなくとも、海外で開かれるジャーナリズムの国際イベントに参加する手もあります。そして、戻ってきた人たちは、ほぼ例外なく「ものの見方が変わった」「新しい道が開けた」といった感想を語り、飛躍のきっかけになっています。とはいえ、英語をどうするのか。費用は。そして、上司や家族は――。このセッションでは、記者として国内で経験を積んだ後、留学や海外研修に参加した記者が経験を語り、相談に応じます。

小林可奈
中国新聞報道センター社会担当
1987年広島県生まれ。2010年中国新聞社入社。経済部に所属していた17年9月から18年9月に休職し、英国のUniversity of East Anglia に大学院留学。専攻は、MA Media and Development。開発学とメディアのほか、紛争・平和、ジェンダーについて学び、修士号取得。18年9月に経済部に復職。 19年3月から報道部(現報道センター社会担当)で遊軍、21年3月から広島市政担当。

辻󠄀浩平
NHKワシントン支局記者
2002年NHK入局。鳥取局を経て11年からエルサレム支局長としてパレスチナ問題やアラブの春を取材。帰国後、盛岡局で震災キャップ、政治部外務省担当。19年からオックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所で客員研究員。ポッドキャストなどオーディオコンテンツの可能性を研究。20年からワシントン支局でトランプ支持者やメディア不信、既存勢力に対する不満などをテーマに取材。

今村茜
毎日みらい創造ラボ兼毎日新聞記者
2006年毎日新聞社入社、経済部などを経て、子連れワーケーションのルポ記事執筆を機に新しい働き方を模索する新規事業「Next Style Lab」を発足。2020年4月からは記者を兼務しながら「毎日みらい創造ラボ」で事業展開。「#働くを考える」イベントを毎月開催しながら、親子ワーケーションの受け皿拡大を目指し活動中。Google News Initiative Newsroom Leadership Program 2019-2020 フェロー。3児の母。