衛星画像を見つけ、利用するためのリソース
文:トビー・マッキントッシュ
翻訳:エァクレーレン
この記事はthe Global Investigative Journalism Network (GIJN)によって公開されました。日本語訳はGIJNのご支援のもと報道実務家フォーラムが公開したものです。貴重な情報を提供してくださり心より感謝申し上げます。
This story was originally published by the Global Investigative Journalism Network.
J-Forum publish the Japanese translation with GIJN’s support.
We’re grateful to GIJN for offering and allowing to translate it into Japanese.
発見・分析という点で人工衛星による画像は強力なツールであり、しかも鮮明な視覚的説明を提供してくれる。調査報道ジャーナリストは、紛争や気候変動、難民、森林火災、違法採掘、原油流出、森林破壊、奴隷労働その他多くのテーマについて衛星画像を利用しているが、それでも、こうした宇宙空間からの画像の利用をさらに広げる余地は確実にある。
ある専門家の言葉を借りれば、画像は「公式見解からは独立」している。
画像にはさまざまなメリットがあるが、特に、海岸線の後退や島の拡大、植生の喪失など、時系列的な変化を示すことが得意である。画像の検証によって他の調査を補完することが可能であり、恐らくは裏付けとなる証拠が得られる。
ここでGIJNが紹介するリソースには、ボランティアによる支援と無料画像(高解像度のものを含む)を得られる10のサイトが含まれている。
リスト中のいくつかは非営利組織(NPO)によるものだが、最大級の営利企業のなかにも、ジャーナリストを支援し画像を提供する姿勢を示すところがあることをGJINでは確認している(下記参照)。
技術的な問題も絡んでくるため、記者たちには専門家の支援を仰ぐことをお勧めしておきたい。
この分野でジャーナリスト支援団体に協力してきたベテランの一人は、「ジャーナリストならば、コンピューターの前に座って『ランドサット8の画像では無理でも、センチネル2の画像なら何かできるのではないか』などと頭を悩ませるよりも、ネタを追って優れた記事を書くために時間と労力を費やしてほしいと思う」と述べている。
このベテランだけでなく、衛星画像を日常的に扱ってきた人々は、ジャーナリストが衛星画像を使ってできることは現状よりもはるかに多いと考えている。
GJINでは、次のような構成でこのテーマを掘り下げていく。
- ヒントを得るために
- ジャーナリストに協力している組織
- 無料衛生画像を入手するには
- 画像利用に関するリソース
- 入手先リスト、関連資料
以下のリソースについては更新を続けていく。すぐ下で紹介するのは、やや例外的な補足資料だ。
- ジオスペイシャル・メディア&コミュニケーションズでエグゼクティブ・エディターを務めるアヌスヤ・ダッタによる「How to Use Satellite Imagery in Your Next Investigation(次の調査報道で衛星画像を活用するには)」は、このテーマに関する2021年の最新情報である。
- このテーマに関する基本的な導入部として優れているのが、アン・ヘイル・ミグラリーズによる論文である。同氏はグローバル開発問題に関して衛星画像を活用しているワシントンD.C.の非営利団体ラディアント・アースの創設者・CEOである。
- また、活用のコツも含めた全般的な論文としては、ジオスペイシャル・メディア&コミュニケーションズでエグゼクティブ・エディターを務めるアヌスヤ・ダッタによるものが素晴らしい。同氏はIJAsia18(アジア調査報道会議2018)において「The new age of satellite imagery(衛星画像の新時代)」と題するプレゼンテーションを行っている。
- ピエール・マーキューズによる「Satellite Image Guide for Journalists and Media(ジャーナリストとメディアのための衛星画像ガイド)」は、解像度や色、ツール、有益なツイッターアカウントへのリンクといったテーマを取り上げている。
- ベン・ヒューブルによる「How to use open source satellite data for your investigative reporting(調査報道でオープンソースの衛星データを活用する)」を読めば、オープンソースの衛星データへのアクセス、理解、処理についての基本(と応用)が見えてくる。
- 「Fact-checking with open-source satellite images(オープンソース衛星画像のファクトチェック)」 ベン・ヒューブルによる2020年5月OSINT衛星研修ガイド第1部。
- 「Advice from ABC News: how to get started with satellite journalism(ABCニュースからのアドバイス:衛星ジャーナリズムの始め方)」 ABCニュースのデジタル記事イノベーション担当チームに所属するジャーナリスト、プロデューサーのマーク・ドーマンに対する、衛星画像初心者のためのインタビュー。
- 「How to Find the Most Recent Satellite Imagery Anywhere on Earth(地上の任意の地点に関する最新の衛星画像を見つける方法)」 ジョー・モリソン作成によるフローチャート。
主として高解像度の画像を見つけるうえでオープンソースのQGISを使う利点は、ウェブサイト「Sector035」のこのページで紹介されている。
1. ヒントを得るために
調査報道における衛星画像の価値は、オリジナルの画像品質が改善されていくなかで、さらに高まるはずである。
小型で低コストの低軌道衛星によって、これまでより高解像度の画像が、より多くの場所・高い撮影頻度で提供される例が増えている。米プラネット社は175基以上の衛星を用い、地球上のあらゆる陸塊にわたる5800平方マイルについて、毎日高解像度の画像を生成している。1ピクセルが1平方メートルに相当する高解像度画像は、道路、建物といった特徴物や、田畑や森林の平均的な色調が分かる。解像度は今や数十センチ単位で測定され、情報量はさらに増えているため、可能性は広がっている。
ヒントを得るために、衛星画像に基づく記事の最新動向を把握できる資料を紹介していこう。
- 「Major investigative exposes by satellite imagery over the years(衛星画像に基づく近年の主な調査報道)」は、アディチャ・チャターヴェディが2019年に「ジオスペイシャル・ワールド」に寄稿した記事である。
- 「Paradise in Trouble: Illegal fishing in Latin America(窮地に陥った楽園:ラテンアメリカにおける違法漁業)」 「モンガベイ」は、コロンビアの「クエスチョン・パブリカ」、エクアドルの「エル・ユニベルソ」、チリの「サイパー」と提携関係にある著名な環境関連ニュースサイトだ。同サイトでは怪しい活動や違法漁業が観察される場所で衛星による監視を活用しており、その結果を他のソースと照合し、これまでに違法漁業に携わってきた船舶、その背後にある企業を特定している。
- 「Environmental Monitoring of Conflicts using Sentinel-2 data(センチネル2のデータを用いた紛争の環境モニタリング)」は、オランダの平和運動団体PAXのヴィム・ズヴィジネンバーグによるもので、「センチネル・ハブを中心とするオープンソース画像へのアクセスが、紛争と環境被害の関連を浮き彫りにする上でいかに有効だったか」を論じている。
- 2009年にベリングキャットに掲載されたズヴィジネンバーグによる記事「Torching And Extortion: OSINT Analysis Of Burning Agriculture In Iraq(放火と強奪:イラクにおける農業火災に関するOSINT分析)」では、衛星画像の収集・利用に関する実践的なコツが数多く紹介されている。
- ロイターの画像編集担当クリスティン・チャンは、IJAsia18で「Satellite Imagery as a Reporting Tool(報道ツールとしての衛星画像)」と題するプレゼンテーションを行った。
- 南アフリカの世界的に有名なクルーガー国立公園とモザンビーク国境に挟まれ、領有権が争われている農村地域マシンギル地区に関する、オックスペッカーズのエスタシオ・ヴァロイによる最近のレポートは注目を集めた。この報道におけるドローンと衛星画像の活用手法についての説明はこちら。
- 「Using Time-Lapse Satellite Imagery To Detect Infrastructure Changes: Case-Studies via Myanmar, Nigeria and the South China Sea(タイムラプスによる衛星画像でインフラの変化を把握する:ミャンマー、ナイジェリア、南シナ海におけるケーススタディ)」は、ベリングキャットに掲載された論文である。
- ニューヨークタイムズは、プラネットラボが提供する画像を使い、CIAがアフリカにおいてドローン作戦のために利用する空軍基地を拡張している様子を印象的に示した。また同紙の「Satellite Images and Shadow Analysis: How The Times Verifies Eyewitness Videos.(衛星画像とシャドー分析:目撃ビデオをどう検証するか)」もチェックしておきたい。
- 2017年、南アフリカにおけるGJINカンファレンスで、ボツワナのINK調査報道センターのジョエル・コノポは、大統領府関連施設で建設工事が行われたことを証明するために用いられた有料の衛星画像の価値を説明した。「衛星画像を使うことで、政府が否認を続けていたのとは裏腹に、施設内で多くの車両と軍の活動を確認することができた」とコノポは述べた。
- 英国ベースのNPOベリングキャットによる調査でも日常的に衛星画像が利用されていることも、やはり注目に値する。ベリングキャットは2018年、詳細なレポート「Nefarious Negligence: Post-Conflict Oil Pollution in Eastern Syria.(怠慢が非道になるとき:東シリアにおける紛争後の石油汚染)」のなかで衛星画像を駆使している。またベリングキャットは別の記事でも、イランが戦略空軍基地の滑走路を拡幅・延長していることを[衛星画像を使って]立証している。
- ストーリーベンチの編集者アレスズ・バジャクによる「How to Build a GIF of Satellite Imagery in R(R言語を用いた衛星画像のGIF化手法)」では、「これ以外にも、たとえばダムの崩壊や森林破壊、森林火災などを示す無数のアニメーションに」利用できるプロセスとコードを紹介している。
- ベリングキャットによるお手本をもう一つ。「How to Identify Burnt Villages by Satellite Imagery — Case-Studies from California, Nigeria and Myanmar.(衛星画像による焼失した村の特定:カリフォルニア、ナイジェリア、ミャンマーにおけるケーススタディ)」
- ロイター・ジャーナリズム研究所のマーク・コーコランによる「Satellite Journalism – The Big Picture: Newsgathering applications of emerging satellite technology(衛星ジャーナリズム、その全体像:最新の衛星テクノロジーによる情報収集アプリケーション)」は、メディア向けに商用衛星画像を提供する米国の有力事業者2社についてメディア・ケーススタディを検証し、新たな衛星ジャーナリズムにおける応用と限界について問題を投げかけている。
- アクテックのファン・ゴンザレス・フライレによる「Data Science and Satellite Imagery(データサイエンスと衛星画像)」は、「国際開発において、実践的アプリケーションを使って衛星画像中の物体検知を実現している」ワークフローに注目している。
2. ジャーナリストに協力している組織
- アースライズ・メディア:アースライズは、衛星画像の発見、使用許諾、分析、制作に関してジャーナリストを支援している。アースライズでは、衛星画像による独創的な内容によって改善された記事の配信サービスも行っている。また、衛星画像に関するオンデマンドの分析・デザインもアースライズが提供するサービスである。未加工の画像は専門家ではない一般の読者には理解困難であるため、アースライズでは、理解しやすくなるよう画像にカスタムフィルターを適用するとともに、「どれくらいの量の水が消滅したのか」「南シナ海のある島嶼にいくつの構造物が存在するのか」など画像の基本的な分析・測定を行っている。最後に、報道メディアにおける使用に際して画像の適切な使用許諾が得られるよう手配している。アースライズへの依頼先はこちら。
- スカイトゥルース:ウェストバージニア州に本拠を置く調査団体。創設者のジョン・エイモスによれば、世界中の調査プロジェクトとの協議に応じるという。連絡先は→john@skytruth.org
- エスリ:衛星画像へのアクセスだけでなく、地図を使った説得力のあるデータ主導型記事の執筆に向けて、衛星画像とそれ以外のデータを組み合わせるための分析・視覚化ツールを提供している。エスリは、常に更新が続けられている「世界画像ベースマップ」(クラリティと呼ばれる雲を消去したバージョンもある)を用意している。また、ランドサット衛星による現在・過去のデータを調査・分析するための充実したリソースを提供している。さらに、「リビング・アトラス・オブ・ザ・ワールド」を通じて、画像コレクションを編纂している。「ストーリーマップ」を使えば常に画像の最新版を把握することができる。
- またエスリでは、GISにあまり慣れていない人向けに設計された無料の3Dビューワー「ArkGIS Earth」など、画像を扱うさまざまなツールを提供している。「ストーリーマップ」のサイトは、マルチメディアや説明用のテキストを添えて地図を提示するさまざまな方法を提供している。エスリは主要な衛星画像企業と緊密に提携しており、オリンピックや災害など現代の重要な出来事をめぐる最新の画像を自社のマッピング/分析サイト「ArcGIS Online」上で公開している。
GIJNはエスリと広範な協定を結んでおり、GIJN会員組織は、画像処理・マップ作成に用いるArcGISソフトウェアの無料ライセンスを請求できる。詳細についてはGIJNまで。
- マクサー・ニュース・ビューロー:一般企業・政府機関向けに「先進的な宇宙技術ソリューション」を提供しているマクサーテクノロジーは、2017年3月から「高解像度衛星画像及びその分析によるパワーを、社会的利益・グローバルな透明性のために活用する『ニュースビューロー』」を運営している。マクサーの一部門であるデジタルグローブは、入手可能な範囲で最も解像度の高い部類に入る衛星画像を生み出している。「ニュースビューロー」は、プロジェクト単位で信頼できるメディア組織と提携し、その専門能力と画像を無料で提供する。問い合わせは、ターナー・ブリントン(turner.brinton@maxar.com)まで。
- マクロスコープメディア:衛星画像を盛り込んだ記事に関し、無償の支援をジャーナリストに提供する。助成金により、創立者であるジェフ・スタインCEOが衛星関連のメディアプロジェクトに関して助言を提供することが可能になった(ウェブサイトは存在しない)。 GIJC17(世界調査報道大会2017)でのスタインの華やかなプレゼンテーションをご覧いただきたい。連絡先は、Jeff.Stein@macroscope.com
- プラネットは「プラネットストーリーズ」と称するデータベースを持っており、衛星画像を誰でも閲覧、比較、共有することができる。「コンペア」「タイムラプス」という2つのツールが用意されている。「コンペア」では、2つの画像を選択し、スライダーに配置して比較することができる。「タイムラプス」では、複数の画像を選択し、変化を示す動画ストーリーを作成できる。驚くべきことに、プラネットでは世界全体の陸塊について毎日画像を収集している。さらにプラネットでは、適格審査に合格した報道機関に衛星画像と専門的能力を提供している。連絡先は press@planet.com
- デカルト・ラボ:公共・一般の画像提供事業者から毎日データを収集する営利サービスで、ジャーナリストへの支援も行っている。受付担当者のショーン・パトリック(shawn@descarteslabs.com)は、「報道用の画像の作成を要請されることが多く、我々にできる貢献は喜んでやっている」と語る。「そうした要請に対して対価を請求することはなく、クレジット記載をお願いするだけだ」
- EOS:EOSランドビューワーは、画像10点まで無料というサービスを提供している。それ以上の画像と分析に関しても、ジャーナリスト向けには割引が適用される。連絡先:アーテム・セレデュック(artem.seredyuk@eosda.com)。またEOSでは、主要な自然災害に関して無料の画像及び分析を提供する「EOSメディア」(仮称)というサービスを開発中。
- ラディアント・アース・ファウンデーション:ワシントンに本拠を置く非営利団体。衛星やドローン、航空機による画像の発見、調査、分析に関して、グローバルな開発関係者を支援する。2018年9月5日には、新たに「オープン地上画像プラットフォーム」を発表した。ラディアント・アースは、コード・オブ・アフリカなどと提携している。協力を得るための申込みは、ウェブサイトへ。
- リソースウォッチ:まだβ版だが、地球上の資源と市民の状態について、数百種類のデータ群を提供する非営利サイト。世界資源研究所などの機関から支援を受けている。リソースウォッチのデータは無料で、ユーザーによるダウンロードが可能である。連絡先はローレン・ゼーリン(lzelin@wri.org)。
- シャドウブレイクは世界中の調査報道ジャーナリストに協力し、関心のある地域の高解像度衛星データを取得できるよう支援している。シャドウブレイクのサイト「ReconLink」は無料で利用できる。ジャーナリストは購入するデータの対価を払うが、ユーザーの1人はリーズナブルな価格だったと満足げに報告している。もう一つのサイト「TacSight」は、3D再現を含む詳細な分析や、他の同僚や専門家と知見を共有し、リアルタイムで協働する能力という点で役に立つ。同社は紛争監視に力を入れており、兵器の射程距離や軍事資産に関する新たな知見を提供している他、衛星画像に基づく興味深いビジュアルの作成を支援できる。連絡先として最もふさわしいのは、ジャスパー・スモーレンブロークだ。
- ソアはオーストラリア発のサイトで、NASAのランドサット8、ESAのセンチネル2(1ピクセル10メートル)などから取得した画像を毎日ユーザーに提供しており、そのなかには、肉眼では捉えられない変化を観測するための複数波長帯による画像も含まれている。ソアは、1ピクセル0.5メートルの高解像度画像についてチャイナ・シウェイ(中国四維)傘下のスーパービューとも提携関係にある。独自にホスティングするサイトを必要とする企業顧客向けには、「ソア+」という会員制サービスもある。ドローン運用事業者には、このサイトに画像を提供してコンテンツの収益化を図るよう呼びかけている。ソアはジャーナリストとの協力にも関心を示している。連絡先はティム・グローバー(tim@soar.earth)。
- スカイウォッチが運営する「アースキャッシュ」は、オープンソース及び商用のさまざまなデータ群へのアクセスを提供している。アースキャッシュではジャーナリストと喜んで協力し、記事で用いる画像を提供すると話している。「データサイエンティストがアルゴリズム訓練用の画像を抽出するのを支援するという独特の目的で設立された」という。関心があれば、media@skywatch.comまで連絡を。スカイウォッチのブログには「What does real-time satellite data really look like?(リアルタイムの衛星データはどのようなものか)」という記事もある。
3. 無料衛星画像を入手するには
衛星画像のソースはたくさんある。そのうち、最も使いやすい無料の選択肢をいくつか紹介しよう。その後、さらなる可能性を秘めた情報源を含めた「コレクション」を挙げておく。
- GISジオグラフィが選ぶ 無料衛星画像ソース15選(2020年)
- スカイウォッチが選ぶ 衛星データ無料ソーストップ10(2020年更新)
「無料のLiDARデータはどこで入手できるか」 アヌスヤ・ダッタによる2019年の記事は、地表面との距離測定にパルスレーザー形式の光を用いるリモートセンシング手法「LiDAR(ライダー)」に関するものだ。「ハードウェアは依然として高価で、処理にも時間がかかるが、建築における3Dモデルの作成から植生の健全性維持、環境科学、そしてもちろん、自動運転実現のために急がれる高精度マップの作成に至るまで、さまざまな分野でLiDARの活用が広がっている」。
- アース・エクスプローラー:USジオロジカル・サービス(USGS)[UCLA環境・持続可能性研究所]によるもの。主として米国内の画像を提供し、NASAのランドサット衛星によるデータ、NASAのランドデータ・プロダクツ・アンド・サービシズへのアクセスが可能である。USGSグローバル・ビジュアライゼーション・ビューワー(GloVis)ではリモートセンシングによるデータを提供している。USGSのアーカイブには、NASAランドサット衛星の完全なデータが良好な保守状態で収録されている。
- センチネル・ハブ・プレイグラウンド:センチネル2/ランドサット衛星による画像をユーザーフレンドリーな形で提供する。商用サイトだが無料サービスもあり、さまざまなカラーバンドにわたる最新の画像を利用している。「EOブラウザ」を使えば、タイムラプス方式での閲覧が容易になる。
- スペクテーター:無料のウェブアプリ。「先月のニューヨーク、雲の無い画像」といった画像のセマンティック(意味による)検索を簡単に行える。YouTubeの動画を参照しよう。自分の関心分野、利用したい衛星を整理するためにアカウントを作成し(無料)、自分のチャンネルを作成しよう。このページでは、センチネル衛星をリアルタイムで追尾できる。
- コペルニクス:欧州宇宙機関のサイトで、コペルニクス計画が運用する6基のセンチネル衛星からの画像を扱う。ランドサット衛星よりも解像度が高い。無料画像をダウンロードする方法については、GISジオグラフィのウェブサイトで説明を入手しよう。
- グーグル・アース・エンジン:衛星画像及び地理空間データの膨大なカタログであり、惑星規模の分析能力を備えている。アース・エンジンは、研究・教育・非営利目的であれば無料で利用できるが、申込みが必要になる。グーグルによる説明はここにある。過去の衛星画像に関して優れたソースである。グーグル・アースでは、仮想の地球を楽しく旅行できる。ベリングキャットでは2019年、グーグル・アースの利用法に関連した記事「How To Use Google Earth’s Three Dimensional View: Feat. Syria, Yemen, Sudan.(グーグル・アースの3次元ビューを利用する:シリア、イエメン、スーダンの例)」を掲載している。
- グーグル・マップは詳細な地図と画像を提供している。グーグル・ストリートビューでは地上レベルでの画像を提供する。場所によっては過去の画像も利用できる。
- ビング:マイクロソフトによる地図・ストリートビュー。オンライン調査を専門とするベリングキャットは、「(ビングは)たとえばイラクにおいて、グーグルよりも新しく解像度の高い画像(提供している)」とコメントしている。
- ウィキマピア:民間所有だが、世界のあらゆる地理的オブジェクトを記載し、それらに関する有益な説明を提供することを目標に、オープンコンテンツ型のユーザー協働式地図作成プロジェクト。ウィキペディアとの関連はない。このサイトではグーグル・マップAPIをベースとする双方向性のウェブマップを提供し、グーグル・マップの衛星画像その他のリソースと、その上でユーザーが生成した情報レイヤーで構成されている。多くの言語で利用できる。
- テラサーバー・ドットコム:検索可能な大規模画像ライブラリだが、ほとんどは公開されていない。ただし、このライブラリへの会員登録は優れた投資であると考えるジャーナリストもいる。2018年9月には新たな制限が導入され、多くのユーザーを憤慨させた
- NASAアースデータ:「ワールドビュー」では、NASAによるリアルタイムに近い画像を視覚化している。幅広い衛星・航空写真画像、充実した検索基準、その他、火災に関するFIRMSなどマッピング・視覚化ツールがある。10以上のNASAデータセンター及び関連する衛星データ生成物にアクセスできる。
- NASAアース・オブザベーションズ:大気、陸地、海洋、エネルギー、環境その他50以上のデータ群を提供している。
- ジオビジュアル・サーチ:類似する地理的特性に関する画像を視覚的に検索できるサーチエンジン。デカルト・ラボによるサイトで、ランドサット、全米農業画像プログラム(NAIP)、プラネットスコープからの衛星画像に依拠している。利用法については、こちらを参照のこと。
- ESAアース・オンライン:EOLi(アース・オブザベーション・リンク」は、温度、農業、氷床といったテーマに関する欧州宇宙機関による地球観測データを統合するサイトである。
- オープン画像ネットワーク(OIN):オープンライセンスの画像を収集している。OINへの投稿者は、コモン・ライセンスに基づいて画像及び関連するメタデータを作成する。オープン画像ネットワークは衛星・航空写真画像の提供者、人道的救援の取組み、クラウドホスティング企業、ドローン及び気球による地図作成マニア、政府及びNGO、地図作成企業、航空画像の生成、ホスティング、利用するすべての人を結びつけている。オープン画像ネットワーク(OIN)に加え、こうした画像の検索・アクセス機能を提供するオープンサービス「オープンエアリアルマップ」がある。
- アースタイム:米カーネギーメロン大学CREATEラボ(コミュニティロボット工学、教育・技術エンパワーメントラボの略)による無料サービスで、「ユーザーは地球の時系列的変化を視覚化したものに触れあい、アニメーションを作成することができる」。
4. 画像利用に関するリソース
- 国際NGOのエンジン・ルームでは、衛星画像を人的資源の調査に利用するための幅広い入門ガイドを公開している。画像をどこで探すか、どのように利用するかが解説されている。
- GISジオグラフィでは2019年4月、世界各国の宇宙関連機関から無料の衛星画像を入手できる15のソースを解説している。
- タクティカル・テクノロジー・コレクティブのプログラム・コーディネーターであるリサ・ギュターマットによる「Starting satellite investigations(衛星による調査を始める)」には、画像の入手先及び価格のリストが含まれている。
- プラネットラボのロバート・サイモンによる「Making Sense of Satellite Data, An Open Source Workflow: Accessing Data(衛星データの理解に向けて~オープンソースによるワークフロー:データへのアクセス)」は、データ利用に関する4部構成のシリーズである。
- 米国科学推進協会が刊行した「The High-Resolution Satellite Imagery Ordering and Analysis Handbook(高解像度衛星画像の注文・分析ハンドブック)」には、「研究者が衛星画像が役に立つかどうか判断するためのシンプルないくつかの質問」が含まれている。
- ベリングキャットに掲載された「How to Scrape Interactive Geospatial Data(インタラクティブな地理空間データを取得する方法)」は、実例を挙げつつ、地理空間データのダウンロードに焦点を絞っている。
5. 入手先リスト、関連資料
- ジオハック・ソーシズ:ウィキペディアが多言語で提供する、世界中の衛星画像・地図ソースの一覧。
- マッシャブル:気候変動に関する報道で使えるサイトをまとめたもの。アンドリュー・フリードマンが執筆。
- 衛星画像の主要な用途に、植生分析がある。EOSによる2019年のこの論文は、植生分析に広く用いられているNDVI(正規化植生指標)以外のスペクトル指数について論じている。
- GISジオグラフィ:「15 Free Satellite Imagery Data Sources(衛星画像データ無料ソース15選)」には、それぞれの長所・短所についてコメントがあり、米国、EU、日本、インドその他の公的な情報源が収録されている(末尾のパブリックコメントには、それ以外の情報源も示唆されている)。GISジオグラフィは、場所の理解に関連するあらゆる問題に情熱を燃やす地理学者のチームである。他にも、「13 Open Source Remote Sensing Software Packages.(オープンソースのリモートセンシング用パッケージソフト13選)」などの記事・リストがある。
- ベンチャー・レーダー:商用画像提供事業者の一覧。
- 「Bellingcat’s Digital Forensics Tools(ベリングキャットのデジタル科学捜査ツール)」:オープンソース及びソーシャルメディアを活用して多様なテーマを調査しているグループによる、衛星画像を含む多くのリソースに関するノウハウ集。
- 「Knowing where to look: Sources of imagery for geolocation(どこを探すか:位置特定のための画像入手先)」:ベリングキャットのエリオット・ヒギンズが、画像・動画を検証する際の裏付け証拠をどこで探すかを説明している。
- ジャーナリスト・ツールボックス:米国プロフェッショナル・ジャーナリスト協会による、地図関連リソースの膨大なリスト。
GIJNでは、上記に追加するリソースの提案を歓迎している。こちらまでご連絡いただきたい。以上のリソースをまとめたPDFファイルはここからダウンロードできる。
このガイドはGIJNリソースセンター長のトビー・マッキントッシュによってまとめられた。彼はワシントンのブルームバーグBNAに39年間在籍した。FreedomInfo.org編集者(2010~2017年)としては、世界各国の情報公開政策について執筆した。現在では情報公開活動家の国際ネットワークであるFOIAネットの運営委員会に名を連ねている。
原文はこちら:Resources for Finding and Using Satellite Images
この翻訳はGoogle News InitiativeとGoogle Asia Pacificの支援を受けて行われました。
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